ゲームクリア感想8:フラジール ~さよなら月の廃墟~

 私が「廃墟探索RPG」という触れ込みのゲームをスルーする訳もなく、4年前の発売当時からチェックしていたwiiのソフト。賛否両論な評価を見て結局買わなかったのですが、最近入手したので、wii本体を片付ける前にクリアしておこうとプレイしました。

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 冗談抜きで、ここまで人を舐めきったゲームを初めて遊びました……
 このソフトに感じた怒りがどれくらい激しかったかというと、怒りのあまりテンションが昂ってそのまま洗面所に向かい髭剃りを始めたくらいです。湧いたエネルギーを無駄にしてはなるまいという心理が働いたのでしょう。
 あの時買わなくて正解だったというのが正直な所です。当時感じた「この廃墟はどうも"違う"んだよなぁ~」 という偉そうな直感は正解だったのでしょう。

【良い所】
  1. 音楽が良い。何気にボス戦BGMが良作揃いでサウンドトラック買おうかと思ったくらいです。
  2. 廃墟自体のロケーションは良い。期待してなかったのですが意外と凝ってました。
  3. 金が簡単に稼げる。
  4. 思いの外ホラー要素が強い。RPGにしたのは無理矢理で本来はアドベンチャーだったのではないでしょうか。
  5. 無線機のイベント"だけ"は良かった。
  6. 後半の展開は賛否両論ですが、やたらとポエミーな展開が続くよりはマシだったと思います。
  7. 主人公が左利き。自分も左利きだというだけです。
  8. 一般公募した落書きとかは雰囲気が出ていた。
【悪い所】
 これでも抑えました。

  1.  全てにおいて最悪な操作性。wiiリモコンのポインタで方向転換する仕様なのですが、これが暴発しまくってストレスが溜まります。戦闘中に武器を振ってたら勝手にポインタがずれてあらぬ方向を向いたりするのは日常茶飯事。それを避けるためにはずっとwiiリモコンをしっかり画面に向けていないといけない訳ですが、右腕が腱鞘炎になりかけました。そもそも、クイックターンも回避アクションも無いという始末。
  2. その操作性のせいで、廃墟探索を謳っているのに探索しにくい。主観視点で移動できないのは有り得ないし、上下の視点移動がほとんど出来ないので見上げたりが出来ない。視野の狭さは探索のみならず戦闘でも辛い。
  3. 後半の一部ステージが無駄に広大。あまりにも通路が長いので、サイレントヒル裏世界のようにループしているのかと思いきや単に長いだけで、「水増し」という言葉が脳裏をよぎりました。しかもハシゴの途中飛び降りすら無いので、ダラダラと長い長いハシゴを昇降する主人公を眺めている時間の無駄さに悲しくなりました。
  4. アイテム整理のやりにくさ。持ち歩けるアイテムは限られているので頻繁にアイテム整理を行わなければいけないのに、ポインタをアイテム合わせて一つずつ入れ替えし、しかもその度に確認メッセージが入るといううざったさ。捨てるわけでもないのに不要だろと。小さいアイテムなんかポインタを合わせにくくて苛立ちが募る一方。
  5. アイテム売買の機会がランダム。これがもう本当にバカじゃないかと思うのですが、セーブポイントに立ち寄ると商人がランダムで出現するのです。セーブだけしたい時であっても前口上と雰囲気ぶち壊しの音楽とともにやってきて、その度に「店を出る」にポインタを合わせる地味な面倒くささ。逆に買い物したい時はご想像の通り、出入り連打です。2009年(発売年)にもなって何なんだ?
  6. アイテムを使用するのにも確認メッセージが挟まれる。そもそもアイテムは一つづつしか表示されないのでそうそう間違えないし、武器の耐久度があるゲームで装備変更に煩わしさがあるのは致命的。
  7. その耐久度も視覚で表示されず、それは我慢出来るとしてもフラッシュライトに装備変更した"直後"に壊れたのには呆れを通り越して笑いました。DQのいのりのゆびわですら使ってから壊れるというのに……
  8. 本編で合間に入るミニゲームが説明不足に感じる。開始前にチュートリアルが入るものの、それを再確認出来ないし、成功判定が曖昧だったりして理不尽に感じることが多かったです。
  9.  世界観を売りにしている割に、調べられるオブジェクトやメッセージが少ない。
  10. 勿体ない助言システム。wiiリモコンを持ち上げる(耳に近づける)と同行キャラがヒントを教えてくれるのですが、これがろくな事を言いません。肝心のアドバイスは曖昧だし雑談のパターンも少ないし、そのキャラに関係するイベント直後でもどうでもいいことしか言わないので興ざめです。あの、シナリオを売りにするならせめてこういう所が出来てないと……
  11.  特に序盤、小刻みにイベントやチュートリアルが入るのでテンポが悪い。探索を続けたいのに、イベントが始まったら強制進行で戻れなくなる事も。

長くなりすぎたのでストーリーに関しては下に分けました。

  1. イベントの会話がサムいどころか激寒で耐え難い。セリフじゃなくて、「俺の考えた最高キャラクターに言わせたい言葉と伝えたい主張」に過ぎないし、シナリオライターは違うものの、「届くかな……私のエアーキッス……」から何一つ変わっていないバンダイナムコに愕然としました。語彙が素人レベルなのも相まって、ストーリーというより、「俺の考えた最高のキャラクターたんに演じて貰いたい展開」の繰り返しで独創性とか何一つありません。二次創作みたいなノリ。
  2. アイテムとして収集するサブストーリー(大半が一般公募)も大半がケータイ小説みたいな感じで安っぽい。プロが書いたっぽい話だけ読めるレベル(それも大して面白くない)。声優の熱演が加わっても読み飛ばしてしまいました。
  3. 主人公の驚いた顔のアップと顔面急接近を繰り返しとけばいいと思っているイベント演出。演出で言えば、緊張感皆無の音楽の使い方はなんとかして欲しかったです。(JRPGでこれがだめだとキツい。)
  4. 矛盾と妥協だらけの展開。そもそも主人公がヒロインに固執する理由がよく解らないし、「ここは危険だから早く逃げよう」と言ったキャラクターが直後に長話を始めるのを見て、「この作者は廃墟とか実はどうでも良くて、キャラクターを動かしたいだけなんだな」と思いました。
気持ち悪く珍妙な、何というかそれはどういう価値観なの?というノリで進むストーリーは同じ開発会社が制作した「トラスティベル~ショパンの夢~」に通じるものがありますね。トライクレッシェンドの公式ホームページが何年も更新されないのが理由がようやく判明した気がします。

 
 一言で言うなら「キッズ向けサイレントヒル」。まぁwiiは本家サイレントヒルですら失敗したのですが、それすらも超えていない癖にRPGに色目を使ったせいで肝心の世界観にケチが付いて、最終的に中途半端な物に終わったというか。せめて戦闘なしの探索アドベンチャーに特化すれば評価も変わったのかなと思います。どちらにせよ、人を苛立たせるセリフ回しやストーリー展開は変わらないのですが……

  いくら我々(?)がゲームをやる暇と気力はあるとしても、これに時間を割く暇までは無いでしょう。18時間ほどプレイしましたが、よく投げ出したい衝動に耐えてクリアしたなと感心します。


【ゲーム中一番笑えたこと】しょうもないミニゲームで詰まり、もうやってられんとWiiリモコンを布団の上に投げたらセンサーが反応して、これまでどうでも良いことしか言わなかったナビキャラが始めてヒントを言い出した。

【ゲーム中一番憤慨したこと】終盤、糞操作と理不尽な判定のせいで40回近くやり直してセンサールームをクリアしてセーブポイントに近づくと強制イベントに入り、それが終わると扉の前にワープしておりA連打するとセーブ出来ないままボス戦という悪意の塊(遠距離武器があれば大して強くないが)。


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